去る12月27日、山梨県北杜市の長坂町農村環境改善センターで市民の皆さんとの意見交換会を開きました。
「えっ、何?」突然言われても分かりませんよね。
実をいうと先月22日、「市民政治を実現する北杜市民の会」という市民有志の団体から、わたしに対して来年4月7日に予定されている山梨県議会議員選挙への出馬要請がありました。市民一人ひとりが政治に関心を持ち、県政と市民をつなぐ候補者を擁立して市民政治を実現しようと、9月から自薦・他薦を問わず、県議選に挑戦したいという希望者を募集し、わたしに要請がきたという訳です。
その記事は今月1日発行の「八ヶ岳ジャーナル」にも載りました。
市民の高い志がこういう形で届けられたことは、一人の市民として、また政治学者として、とても嬉しいことでした。というのも、日本政治の問題点はプロの政治組織と市民社会が乖離して、別々の世界に生きているかのようになっていることである、と常々考えていたからです。この現状を変えるためには、市民一人ひとりが公共の関心のもとに集い、活動する必要があります。そして、既成のルートを経由して吸い上げられる要求ではなく、多種多様な要求をもった人びとが直接に表明する声を、議会に届けなければなりません。そうすることによって、自分が政治に関わり影響を与えているという、いわゆる政治的有効性感覚をもつことができ、政治に対する関心も高められます。
そんな風に考えていましたから、市民からいただいた真剣な声について重く受け止めました。
しかし一方で、自分の研究者としてのキャリアもありますし、何より、政治家になるとなると自分だけではなく、妻と4人の子どもたちも巻き込むことになります。それはたいへん重い決断です。
そこで指導教授や同僚、友人たちにも相談しただけでなく、広く市民の皆さんの意向も確かめたいと思い、27日、意見交換の場を設けさせていただきました。
当日は40名あまりの方が出席くださって、活発な意見交換が交わされました。その一部を紹介させていただきます。
「県予算の使い方を、土木費全国一から人間第一へ。」
「リニアや高速道路より、教育・福祉へ!」
「山梨に本当に価値のある観光が生み出せれば、不便な本物がある地域のほうが末永く人びとは訪れるはず!明確なゾーンプランを打ち出す!」
「密室政治から開かれた透明性の高い県政へ!」
またリニアをストップする代替案として、「あずさ」のグレードアップなどのアイデアもいただきました。
いずれも、真剣で熱い想いのこもった意見ばかりで、現在の政治に対して皆さんが強い問題意識を持っていることが分かりました。こうした意見には真摯に向かい合いたいと思いました。
その一方で、政治の道に進むということはそれ相応の覚悟が求められることも事実です。政治思想家のハンナ・アーレントは次のように言っています。
「公共的領域への冒険の意味するところは、私にははっきりしています。一つの人格を持った存在者として、公共的な領域の光に自分をさらすことです」
政治的領域の生活とは、容赦なく身をさらされる生活であり、この領域に入ったものの心構えは、まず自分の生命を賭けることです。
自分自身と厳しく向かい合いながら、引き続き検討していきたいと思います。
コメントを残す