基本政策

1 北杜市の課題

● 都市圏への人口流出や少子高齢化による人口減少
● 森林の荒廃と空き家の増加
● 各地域の個性と市としての一体性の両立

都市圏への人口流出や少子高齢化による人口減少

北杜市の人口は、現在の46,470人(2020年6月1日時点)から2040年には32,880人まで減少すると推計されています(国立社会保障 人口問題研究所)。

また2010年以降、生産年齢人口が減少に転じた一方、老年人口は増加の一途を辿っています。
どのようにしたら人口を減少から増加に転じられるかということは、市の大きな課題です。

森林の荒廃と空き家の増加

市の林業従事者は40名弱しかいません。
里山は手入れがされず、荒廃が進んでいます。
しかし水源涵養や国土保全、生物多様性の保全や防災等、森林の持つ豊かな機能を発揮していくためには、森林の整備や保全が不可欠です。
突発する自然災害により、空き家の損壊も危惧されます。
空き家の利活用が課題となっています。

各地域の個性と市としての一体性の両立

北杜市は8町村が合併して誕生しましたが、合併によって住民サービスのレベルが低下したのではないかという住民の声があることも事実です。
合併効果を最大限に発揮し、住民満足度を高めていくための努力が求められています。

そのために、各地域の個性を最大限に活かしたまちづくりを行うと同時に、市としての一体的なつながりを築くことが課題となっています。
また住民に関連する分野において、検討委員会や審議会の市民公募委員の登用、パブリックコメントの実施などで、住民の参加、協働を図ったりしています。

地域のことは地域の住民が決める段階には、まだ達していません。
そのためには市民参画と協働を進めるとともに、自治体運営の基本ルールを定めることが必要です。

2 子育てと教育のまちづくり

●子ども一人ひとりの幸福を追求できる魅力的な教育の推進

●子どもが遊ぶことのできる里山の整備
●給食の完全無料化と安全安心な食育の推進

子どもが遊ぶことのできる里山の整備

子どもが育っていく上で、五感で感じられる実態や手触り感のあるもの“ことや体験は欠かせません。
子どもが遊ぶための里山を整備します。

給食の完全無料化と安全安心な食育の推進

子どもの食の安全安心や食育推進の観点から、地域に根ざした食育を推進していきます。
地産地消にかかる取組みを展開していくため、学校給食等における地域の農畜産物等の利用拡大します。
また全ての子どもに安全安心な食を保障するため、給食を完全無料化します。

子ども一人ひとりの幸福を追求できる魅力的な教育の推進

地域の課題は産業衰退“若者流出“後継者不足です。
これを変えるため、地域が必要とする人財を北杜市の学校で育成します。
人財が育てば新たな産業を起業してくれますし、仕事があれば若者は定任します。
既存産業も新しい形に変えて、継承してくれます。
教育を変えることは地域の未来を変えることです。
「仕事がないから帰れない」から「仕事をつくりに帰りたい」へ。
北杜市は「人の自給自足」を図ります。

わたしたちのまちづくりの中心にいるのは、未来の大人である子どもたちです。
ひやぎき雅也は、教育の魅力化を通して、北杜市の魅力化と持続可能な地域づくりに貢献していきます。

3 防災と安心のまちづくり

● 対話と協働による住民どうしの関係の強化
● 採算性と環境保全を両立する持続的森林経営の推進
● 空き家への若者居住の支援

対話と協働による住民どうしの関係の強化

近年は局地的な豪雨、洪水、豪雪などの異常気象も増加しております。
自然災害に対する危機感が高まっていて、日常的に防災、減災への取組が求められます。

市長直属の「いのちの安全委員会」を設置して、住民と市職員が参加するサロンや検討会を開催します。

行政からの一方的な押しつけではなく、住民どうしが対話し方針を決める自発的な活動を通して住民どうしの関係を強化することにより、防災、力を強化します。

採算性と環境保全を両立する持続的森林経営の推進

災害に強い森づくりのためには、小まめな間伐が必要です。
間伐材を生産しながら残った木の蓄積量(在庫)を増やす長期視点の持続的森林経営(自伐型林業)を起こしていく必要があります。

現在は一般財源から予算を充てている「林業地域おこし協力隊」制度の予算を森林環境税に組み換えて採用の拡大を図り、都市住民を自伐型林業者として受け入れます。

空き家への若者居住の支援

北杜市は、豊富な自然環境と首都圏から近い立地条件を強みとして、根強い移住希望を誇っています。
しかし住宅、特に賃貸物件が少なく、住居を確保できないが故に移住を断念する人がいるため、特に若い世代を中心に空き家の活用を求める声が多くなっています。

空き家オーナーへのリフォーム補助の実施や、地域コミュニティーへの参加を条件にした若者への家賃補助などを検討していきます。また子育て世代の移住希望者向けに、すぐに入居できる住宅のシェアハウス事業も後押ししていきます。

4 みんなが主役のまちづくり

● 市民参画と協働の推進
● 地域内分権の推進
● 自治基本条例の制定

市民参画と協働の推進

「まちづくり」の主役は住民です。
「どうしたら住民自身の未来が描けるのか?」
住民自身が町の未来をデザインし、行政がこれを支える。

住民自治を土台にしたまちづくりを具体化するため、地域振興につながる住民のアイデアに市が予算をつける制度を創設します。

地域内分権の推進

多様化する住民のニーズや環境の変化から生じる新たな行政課題に応えるために、東京都23区に匹敵する面積を持つ北杜市を8町に分権化します。

地域に密着した柔軟かつ迅速に対応できる行政組織づくりを実現します。

自治基本条例の制定

各町の個性と特性を最大限に活かしたまちづくりを行うとともに、それらの多様性を統一するための軸を市民「地域」行政の協働によってつくります。

そのために、合併して誕生した北杜市が、お互い心を一つにしていくルールを「北杜市自治基本条例」として定めます。
自治基本条例は、市民の意思に基づいた市政を行っていくため、基本的な理念や原則などを明らかにした条例です。

ひやぎき雅也は、住民自治を重視し、市政運営の仕組みを地域主権の時代に対応できるものとしていきます。

 

ひやざきが考える政策提言
「課題先進地域・北杜」から「課題解決の先進地域・北杜」へ

1 教育の魅力化による地域の魅力化
 現在、北杜市では中学校の存続が問題となっています。
今年1月から2月にかけては北杜市立中学校適正規模等検討に係る地域説明会が市内各町で開かれました。

学校の存続は地域の存続と直結します。しかし今まで学校の存続が問題とされてきても、生徒数の減少傾向は止まりませんでした。
それは、存続が問題とされるような学校に人びとが魅力を覚えにくかったためということもあったように思います。

それよりも、子どもが「行きたい」、親が「行かせたい」、地域住民が「この学校を活かしていきたい」、そして教員も「赴任したい」
と思うような、魅力ある学校づくりを目指した方が、結果として学校は存続し、地域も存続するのではないでしょうか?

北杜市のような過疎地域に最も不足しているのは、子どもを生み育てる20代~40代の層です。
この子育て世代が定住において重視することの一つが「教育」です。

これまで多くの過疎地は「産業、雇用の場さえあれば人は離れない。若者も戻ってくる」という考えに囚われ、地域づくりの文脈において教育はあまり注目されてきませんでした。
しかし少なくとも、魅力的な学校や教育がない場所に、子どもを連れて住みたいとは思いません。
雇用の場だけでは子どもがいる有能な人財は定着しません。

これからは、「ここであれば安心して子どもたちは地域で遊べ、豊かな自然や文化、人のつながりに育まれ、心身ともに健康でたくましく育つ。
また、しっかり学力もついて希望の進学もでき、さらに社会を生き抜く人間力も育つ」といった教育環境をつくることが重要です。

2 学校と地域との協働による「魅力」ある教育づくりを目指す協働プロジェクトの開始
そこで、学校と地域との協働により教育の魅力化を目指す協働プロジェクトを開始する必要があります。
そのための体制として、市長と副市長、教育長、校長、さらには地域の人にも役員になってもらい、学校改革の推進母体を発足させます。
またこの会の下部組織に、教員と行政、保護者、住民等による学校の改革構想を策定するワーキンググループを結成します。

今は学校や教育行政だけですべてを解決することは困難な状況です。多様な子どもを誰ひとり取り残さないためには、今こそ学校が地域社会と連携協働し、多様な専門職等も含めた「チーム学校」として、どんな家庭の子どもであっても、どんな地域に生まれても、障がいの有無や国籍などにも関係なく、すべての子どもが社会とつながり、それぞれに必要な学びを確保できるようにする必要があります。

したがって「まちまるごと学び舎に」というのが、このプロジェクトにおける学びのコンセプトです。
そのために生徒“児童と住民の学び合いの体制を構築していきます。
そして教育を核としたまちづくりを地域と学校との協働によって実現します。敢えて言えばそれは、「子育て支援のまち北杜」の継承発展です。

 

3 北杜市だからこそできる「魅力ある」教育づくり
北杜ならではの教育の魅力とは何でしょうか?人口減少、超少子高齢化、後継者不足、財政難など、一見問題だらけの地域ですが、
実はこれこそが北杜ならではの教育の魅力とも言えます。
このような日本や世界の重要課題の最前線といえるこの地で挑戦したり学ん
だりすることができれば、それは必ず日本や世界の未来を切り拓く力となります。

そのためには、不利な条件こそ、魅力の条件になるという逆転の発想が必要であり、それを叶えるのは、行政の大胆な決断、地域の人財の協力、そしてICTの力です。

「ピンチは変革と飛躍へのチャンス」という発想に立ち、生徒を学校内に留めすべてを教員がやろうとせず、「地域全体を学校」という発想に転換することを目指します。

そのための制度として、北杜の地域人財のデータバンク化を進めるとともに、プロジェクトの事業主として市が出資して
一般財団法人北杜ふるさと魅力化財団を設立します。

4 具体的な施策

(1)カリキュラムの充実・進化
教員の数を増やして、目の行き届いた少人数教育を充実させます。
生徒ごとに担当教員をつけるチューター制の導入やカウンセリング機能の充実など、生徒一人ひとりをしっかりと見られるシステム作りを進めます。
地域を活用したキャリア教育や協同的探究学習、課題解決型学習を展開します。
またICTを効果的に活用するなどして、教育、医療“福祉、一次産業“六次産業のつなぎ手や地域起業家人財の育成を図ります。

(2)地域人財のデータバンク化
教育の縦のつながりを意識し、北杜市の保一小一中学校との連携を進め、ふるさと学習やキャリア教育の一貫性も構築していきます。
そのためにも北杜の地域人財のデータバンク化等を協働で進め、教員が異動で変わっても地域人財を活用した教育活動が発展していける
仕組みを整えていきます。
また地域住民も授業や行事等に参加できるようにするなど、生徒と住民の学びあいの体制の構築を進めます。

(3)学校地域連携型公立塾「北杜学習センター」(学校と連携して生徒や教員を支援する公立塾)の創設
学校を変えると言っても公教育である以上、文部科学省や県の管理下にあり、市で変えられる部分には限界があります。
そこで構築する枠組みが、「北杜学習センター」です。

この学習センターは市が運営している組織、簡単に言えば公立の塾です。そしてこの学習センターは単なる学習塾や予備校ではありません。
北杜が必要とする人財を育成する役割をも担っています。

先進的なスタイルの人財育成プログラムを行い、ICT機器を活用した学力向上の授業も行います。「教育のラボ(研究機関、実験室)」となり、
さまざまな試みに挑戦していきます。

また、甲陵高校と連携し、お互いが持っている情報を共有しながら塾生の指導に当たっていきます。常に双方がコミュニケーションをとることで、
学校の教育内容が変化すれば、それに応じて学習センターでは、公教育と同じにならないよう、さらに新たな試みに挑戦していきます。

(4)部活動の活‘性化
北杜市の部活動は、外部人財の活用や地域との連携を積極的に行いながら、小さくてもキラリと輝く部活動を目指していきます。
また、中高の部活動の交流や教員の負担軽減や指導教員の異動などに左右されず指導の安定化を図る意味でも社会体育との連携を進め、地域において小学校から高校まで一貫して競技を続けられる環境の構築を目指します。

(5)学校運営協議会(コミュニティースクール)の導入
一定の責任と権限を持って地域が学校運営に主体的に参画するとともに、管理職や教職員が変わっても継続性を担保していけるよう、学校運営協議会を導入するなど個人の熱意や善意、マンパワーだけに頼らない、持続可能な仕組づくりを進めていきます。

(6)空き家への子育て世代居住の支援
北杜市内の保育園から高校までの連携を強化し、「子育て北杜・教育の北杜」という教育のブランド化を図り、子ども連れU ターン家族の定住促進や、意欲ある小中学生を対象とした北杜留学の受け入れを進めていきます。

ハード面においては、子育て支援住宅に入りきらない生徒を受け入れる場所の整備が喫緊の課題です。
北杜市内のペンションとの連携や空き家の効果的な活用を探ります。
また、Uターン志望の生徒への奨学金を充実させます。

(7)地元の句の食材を使った安全安心で健康的な給食の提供
給食については、地産地消率を向上させ、地元の句の食材を使った安全安心で健康的な食事を提供するとともに、生産者との交流や実際の野菜や米づくり、伝統食づくり、児童“生徒自身による企画“食材調達“調理など食育を推進します。
その際、給食センターなど外部機関との提携や連携も検討します。

8)まちづくりと連携した役所内での総合的、有機的、横断的な対応
市役所内では教育魅力化の担当が組織的に位置づけられているようにします。

5 成行きの未来ではなく、意志ある未来へ
北杜市の抱える少子高齢化や財政難、人口減少はどれも多くの地域が直面している状況であると同時に、
これからの日本や世界が直面する課題でもあります。

これらの諸問題の解決は、他の過疎地や少子高齢化の地域の参考になるだけでなく、日本や世界の課題解決や今後の政策に大きな禾唆を与えるものになりえます。地域の学校が持つ構造上の課題を踏まえた上で、その潜在的な強みを活かす方策を打ち出すことができれば、地域内外から生徒が集まる魅力的な学校づくりの可能性はあります。

生徒数が減った地域の学校をなくし、地域の衰退を加速させていくのか、それとも魅力化という新たな可能性を探るのか。成行きの未来を選ぶか、それとも意志ある未来を選ぶのか、その選択が地域や学校、その設置者である市に問われています。

ひやぎき雅也は、この北杜市における魅力ある教育と人づくりからの持続可能な地域づくりを通して、これからの日本や地球の未来づくりに寄与していきます。